通学路

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あちこちで、アブラゼミが鳴いて る。 今日も朝から太陽が照り付ける中 ボクは学校へ行くために自転車を こぎつづけている。 ほんとうはこの道、通ってはいけ ないと校則で決まっている。 左は切り立った崖で、右はところ どころ錆びたガードレールがある だけで、道路から1mくらい落ち 込んだら、すぐ海だ。 日の出からほとんど一日中太陽が 当たるこんな清々しい道が、校則 で通行禁止になるなんてボクには 理解できない。 二ヶ月くらい前に、車が海に転落 する事故があった。 警察署の署長と、うちの校長先生 が兄弟で、その事故から三日後に は通学路禁止、その二週間後には 車も通行禁止になった。 ボクもはじめは新しい通学路の方 を使っていたけど、車輌通行止め になったと聞いて、ラッキー!と ばかりに、またこの道を使ってい る。 それにボクの家からだと、学校へ 行くにはこの道のほうが早い。 海沿いの道を抜けて、地元の人た ちから“アルプス”と呼ばれてい る、高さ10mほどの大きな岩の 向こう側にある坂道をのぼれば、 学校まではすぐだ。
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