再び

9/9
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
ボクは家を出て、左に向かった。 でも、この信号を右に曲がってし まうと、尾行でもされないかぎり どう走ってもわからない。 二人っきりの家族だ… 姉貴の心配は当然のことだ。 でも、もう一度アルプスに上れば 何かが起こるかもしれない。 ジュン、ゴメン… そう言いながら、海沿いの道に行 ける路地に入った。 今日はあの日とは違い、ちゃんと 人影はあった。 そして、海沿いの道に出た。 『ここからだ…』 ボクは努めていつものように自転 車を走らせた。 そして、アルプスに着いた。 頂上を見上げたが、人影はない。 ボクはアルプスの上に登った。 そしてあの日、つばさがしていた ように、先端に立って海を見つめた。 『不思議な夢だったのかなぁ…』 ボクは腰を下ろして、またしばら く海を見つめた。 『さて! 行くか…』 『アタシ、驚かせてしまってるみ たいね…』 ボクはあわてて振り返った。 『つばさ…』
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!