つばさ

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『こんにちは!』 『つばさ!』 『なに10年ぶりに会ったみたい な顔してるの?』 『そ、そうだけど…』 『会ったのは昨日の朝よ!』 『でも…だけど…あ、あの…』 つばさは、あのやさしい顔で笑っ ていた。 『なに?』 『あ、あの…ボク…』 『だから、なぁに?』 そう言うとつばさはまた笑った。 『そんなに笑うなよ… ボク…真剣なんだから…つまり… その…聞きたいこととか…確かめ たいこととか…』 『会いたかったの?』 つばさは、ボクが一番言いたかっ たことを見透かしてるみたいに言 ってきた。 ボクは、顔が赤くなるのが自分で わかった。 『あ、まぁ、そうだけど…』 『へぇ、意外に正直なんだね! じゃあ、また飛んでみる?』 つばさは悪戯っぽく笑った。 『それだよ、それ!』 『ん?』 ボクは、何一つ頭の整理が出来て なかったけど、思いつくすべての ことを言おうとした。 『キミは誰?』 『は? さっきアタシの顔を見て つばさって言ったじゃん… アタシはつばさ!』 『それはわかってる! そうじゃなくて、どこに住んでる とか、どこの学校に行ってるのか とか…』 『言えるのは、つばさ… それだけって言ったはずよ!』
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