0人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
『わからないって…どうして?』
『夢じやないから…』
『も、も、もしかして…
つばさは…その…ゆ、幽霊!?』
『アハハ! バカね! ほら…』
つばさはあの日のように、ボクの
手を握った。
その手は、あの日とおなじように
冷たかった。
『ふぅ~! なんか釈然としない
けど、でも会えたからいいや!』
『え…?』
『不思議の謎は理解できそうもな
いけど、もう一度会いたいという
願いは叶った…』
ボクは、つばさの瞳を見た。
その瞬間、体に力が入らなくなっ
た。
いや、というより浮いてる感じ…
あのとき感じた、深い森に包まれ
ているような感覚だ。
『もう…いくね…』
『待って! どうすればつばさに
会えるの?』
ボクは、そうつばさに問い掛けて
いるんだろうけど…
声が…出ていない…気がする…
そしてつばさも…
喋ってはいない…
『もう、会わないわ…』
『会いたいんだ、どうしても…』
『なぜ?』
『うまく言えない…けど…ボクの
体中がそう言ってる!』
つばさは少しうつむいていたけど
すぐに顔をあげた。
『アタシは…ここにいるわ…』
最初のコメントを投稿しよう!