謎の少女

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誰だろ…あんなとこで何を… その少女は、アルプスの上から 遠く海の果てを見つめているよう だった。 透き通るような白い肌にシーツの ような衣を纏い、両手を広げて鳥 のように今にも飛んで行きそうだ った。 首にガラス玉のようなネックレス をしている。 でもボクには、何かを思い詰めて るように見えた。 “じ、自殺…!?” ボクは慌てて自転車を捨てそれを 止めようと思った。 必死だった… どうやってアルプスに上ったのか 覚えてないけど、気がつくと彼女 を後ろから抱き抱えるようにして いた。 そして落ちないように、2~3歩 さがった。 その拍子で段差に足をとられて尻 もちをついた。 彼女もボクと一緒に倒れ込んだ。 『痛~い! なにすんのよ!』 『ダメだよ! 自殺なんて!』 『はあ? 自殺?』 『生きなきゃダメだよ! なにがあったのか知らないけど! 生きなきゃダメだよ!』 『アハハハ! バカみたい!』 彼女は大笑いした。 『誰が自殺なんてするのよ! しかもこんな低いところから飛び 降りたって、せいぜい足の骨を折るくらいよ! アハハ!』 『え?』 一瞬にして力が抜けた。
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