ふたつの告白

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今日は一段と暑い。 今日から夏休みなのに、クラスの 中は普段と変わらないくらい人が いた。 みんな部活に来ている。 そしてボクは、眠い… 最近のダルさとは違う。 ゆうべ“食べたら運動よ!” そう姉貴に言われ、ボウリングに 行った。 3ゲームもしたためか、ベッドに 入ったのは、夜中の1時を過ぎて いた。 おまけに、何度もあのネックレス に気を引かれた。 そして、何度もつかもうとしてや めた。 だからほとんど寝ていない… 『おはよ! ミチル!』 『お~ユウイチ!』 『うまかったか? 焼肉?』 『それよりオマエ、今晩行かない のか? なんだよ用事って!』 『あ~従兄弟が来るんだよ… お守りだよ、まだ小1だぜ! 親父に夏祭りに連れてけって言わ れてさぁ…』 『ならオレたち三人とその子とで さぁ…』 『オマエ、バカか? あづさと二人で行ってこいよ!』 『なんで知ってんだよ!』 『勘違いすんな! オレは何も言ってないぜ! ただ…ん…まぁ、背中を押した… そんなとこだよ!』 『誘われたよ、二人で行こうって さ…』 『で? オマエ、何て?』 『行くとは言ったけど… 正直…迷ってる…』 『ミチル! オマエ!』 ふいにユウイチの顔が、真剣にな った。 その時ボクは気づいてしまった。 トライアングル… ユウイチは、ボクとあづさに気を 遣っている。 自分のキモチを隠して? それとも、あづさにフラれるのを 恐れて? そしてボク自身も、二人を失って しまうことになるかもしれない。
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