決心

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今日一日、ボクもあづさもそして ユウイチも、あまり言葉を交わさ なかった。 さらにボクは、今日から夏休みで せっかく練習に打ち込めるときに 例のダルに襲われつづけていた。 いったいこれはなんなんだ…? 部活が終わるとユウイチはすぐに “じゃあな、ミチル!”とだけを 言って、帰ってしまった。 ボクがユウイチの後ろ姿を見送っ ているところに、あづさがきた。 『ミチル、今日…大丈夫?』 『あ、うん…』 『じゃあ、6時半に鳥居のとこで 待ってるね…』 『わかった…』 待ち合わせまではまだ少し時間が あったので、家で着替えを済ませ リビングのソファで横になった。 姉貴が声をかけてきた。 『ミチル、晩御飯…いらない?』 『たぶん…』 『そ…まぁ帰ってきて食べたきゃ 食べなさい…作ってあるから…』 『ありがとう…』 『しっかりね!』 それだけ言うと、店に戻った。 ボクは、重い腰をあげた。 街に出ると、浴衣姿の女の子とか カップル、家族連れで賑わってい た。 友人数人に声をかけられた。 いったいどこの誰から聞いたのか “あづさは?” と冷やかされた。 “そっちに交ざりたい!” そう言いたかった。
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