決心

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ボクらは、参道に並んだ露天を歩 き、催し物を見たり騒いだりして いた。 その間ボクはずっと、子供の頃の 懐かしい思い出がよみがえってき ていた。 はしゃいで、騒いで、悪戯したり ケンカしたり… 泣いたり笑ったり… いっつも三人、一緒だった… あの頃… 『ミチル、あっち行ってみよ!』 『あ、うん…』 ボクらは、花火が打ち上げられる 場所に向かった。 二人並んで歩き出すと、あづさの 手がボクの手に触れた。 何度となくそれを繰り返している うちに、あづさがボクの手を握っ てきた。 ボクは、全身が緊張した。 そして、ゆうべのキスの感覚まで よみがえってきた。 鼓動が早くなっていく。 あづさと手を繋ぐことなどなんで もない。 そんなこと、子供の頃からずっと してきた。 ただ、そこには兄妹みたいな感情 しかなかったから…。 でも、いまのあづさの中にはそれ とはまったく違う感情がある。 言わなきゃ…。 『なぁ、あづさ…』 『ん?』 『ちょっと話さないか?』 『うん!』 ボクたちは人混みを避けるように して、近くの小さい公園にきた。 ベンチに腰掛けた。
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