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壬生寺を通り過ぎ、沖田さんは、ある家の垣根で足を止めた。
見てみると、白い着物を着た女性が洗濯物を干していた。
その人は少し色白で、優しそうな顔をしている。
茶色で、右下にまとめた長い髪。
うちは、沖田さんを見上げた。
少し頬を染め、その女性を見ている。
女性が家に入った後、うちと沖田さんは、ようやく足を進めた。
「今の、皆には内緒ね」
沖田さんは自分の口に指を当てて、ニッと笑った。
「勿論ですよ」
………あ!!
「沖田さん、さっきのあの人…」
……………。
「?どうかした?」
沖田さんはニコニコと訊き返した。
「…とっても、素敵な方ですね!」
「うん//」
……………。
「…沖田さん、体調には十分気を付けて下さいね…」
「どうしたの?急に」
「だって……これから新撰組の仕事はどんどん増えますし、
沖田さんはあの女性も守らなければならないでしょ…?
さ、買い物に行きましょう!」
うちはフフッと笑って、頬を染めた沖田さんの背を押した。
………どうか、うちの予感が外れてますように……。
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