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ある日の事。
うちはお恋と一緒に、庭を掃いていた。
そこに、佐藤さんと佐々木君が話し掛けて来た。
佐藤さんは佐々木君と同期。
いつも二人で一緒に居る。
「祐美さん、お恋さん、『虎』って見た事ある?」
「うん。見た事あるよ」
「祐美ィ、見た事あんの!?なあ、どんなんなん?」
お恋が目を輝かせて、訊いてきた。
「えっと…黄色と黒の縞々模様の巨大な猫だよ。それがどうかした?」
「その虎が、京に来てるらしいんだ」
「へぇー!!」
お恋はその話に驚嘆していたが、うちは嫌な予感がしていた。
…虎……。
「…でもその虎、偽物だって噂もあるんだ…」
「え!?」
「………」
佐々木君が声を潜めて言う。
「祐美さんが巨大な猫だって言ったけど、…京に来た虎は猫らしからぬ動きをしているらしいんだ」
「……?」
「…『中に人が入っている』…と?」
「うん。…詳しいんだね、祐美さん!知ってたの?」
「ちょ…直感!」
「それは本当か!?」
「「せ、芹沢局長!!」」
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