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「副長、佐々木の事で話があるのですが」
「…丁度佐々木の話をしていた所だ。入れ」
入って来たのは佐藤さんだった。
「で、どうしたんだ?」
「佐々木が、昨日から丸一日帰って来ていないんです」
「「え!?」」
「何だと!?」
うちの中の嫌な予感が、むくむくと広がった。
そして、ある事を思い出した。
「…すみません。あの虎の件を覚えてますか?」
うちは佐藤さんに問い掛けた。
「ええ。覚えてますよ」
「祐美さん、それがどうかしたの?」
沖田さんが、不思議そうに尋ねる。
「…あの日…佐々木君に何かありませんでしたか?…例えば…一目惚れした…とか…」
うちは、自分の予感が外れる事を必死に祈った。
「…ええ」
!!
佐藤さんのその一言で、うちの祈りが崩れた…。
「あの虎の件があった後、佐々木と私は、ある女性が浪士に絡まれているのを助けたんです。
その女性が大変可愛らしい女性(ヒト)で。
佐々木も見ての通りの美青年。
お互い一目惚れのようで、即付き合い出したようです」
うちは、自分の顔から血の気が引くのを感じた。
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