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‡ 月煌 -ゲッコウ- ‡
今宵もまた
その心に刻まれた十字架を
痛々しいほど鮮明に
月煌が照らしだすの
今もまだ
痛いと口にできないのは
彼の人の
傷の痛みと 己の罪の深さを
あの月煌が覚えているから――
昨日へ続く道はどこ?
夢幻の彼方に消えた楽園はどこ?
そうして見上げた 闇色の空を
浮かぶ月が 哀れむように
揺れ煌めいたの
報われない想いが星になるなら
彼の人の魂は 今も
闇の宇宙-ソラ-に囚われているのだろうか
そうして軋む十字架を
緋色の雫が 伝っていく
今宵もまた
その身に背負った十字架を
切ないほど鮮明に
月煌が照らしだすの
今もまだ
瞳を閉じて眠れないのは
彼の楽園の
思い出と 己の罪の重さを
あの月煌が夢にみせるから――
振り返っても何もないのは何故?
夢幻の底へと沈んでいったものは何?
そうして覗いた 闇色の海を
泳ぐ月が 嘆くように
揺れ煌めいたの
悲しみの涙が 深い海になるなら
彼の楽園は 今も
深海の底なのだろうか
そうして震える十字架を
緋色の雫が 濡らすの
今宵もまた
その身に背負った十字架を
切ないほど鮮明に
月煌が照らしだすの
今もまだ
瞳を閉じて眠れないのは
彼の楽園の思い出と 己の罪の重さを
あの月煌が夢にみせるから――
月煌が 音も無く鳴咽を漏らす
月煌が 音も無く悲鳴をあげる
光りを無くした 月の華が
宇宙-ソラ-の塵になり消えてゆく
これは僕の心
月煌は 僕の鏡の中の姿
――眠れぬ月煌が
夢見るものは何?――
今宵もまた
その心に刻まれた十字架を
痛々しいほど鮮明に
月煌が照らしだすの
今もまだ
痛いと口にできないのは
彼の人の
傷の痛みと 己の罪の深さを
あの月煌が覚えているから――
今宵もまた
その身に背負った十字架を
切ないほど鮮明に
月煌が照らしだすの
今もまだ
瞳を閉じて眠れないのは
彼の楽園の
思い出と 己の罪の重さを
あの月煌が夢にみせるから――
故に月煌は 今宵も
宇宙-ソラ-と海を照らし続ける
全てが 静かに
眠れる夜を迎えるまで―――
end...
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