‡ 月の記憶 ‡

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‡ 月の記憶 ‡ 花(イノチ)は儚く咲き誇り 鳥(タビビト)は明日に飛び立つ 風(オモイ)は時に流されて 月は一瞬残酷に何かを思い出させるの 闇色の海に浮かぶ月影 孤独を抱えて揺れ漂う 膝を抱えても零れ落ちて 水面に波紋を広げる孤独の涙―― 輪廻の流れの中で 転生を繰り返す世界 鳥籠の中から見上げる月は 世界の顛末を見届けるべく 常に宇宙(ソラ)に在る いつか また巡り会えるとしても 君は僕に「誰?」と首を傾げるだろう そして僕は 昨日の世界と「さよなら」して 新しい世界の物語の始まりを記すのだろう 色褪せるしかない思い出を ただ一人ずっと抱きながら 花(ネガイ)は儚く散り落ちて 鳥(タビビト)は今日を旅立つ 風(イノリ)は夢の彼方へ 月は一瞬鮮明に何かを思い出させるの 闇色の空に浮かぶ月煌 記憶を抱えて揺れ漂う 腕に抱えても零れ落ちて 流星となって天を翔ける夢のカケラ―― 輪廻の流れの中で 転生を繰り返す旅人 鳥籠の中を覗き見る月は 旅人の物語を記すべく 常に宇宙(ソラ)に在る いつか また巡り会えたとしても 僕は君に「誰?」と首を傾げてみせよう そして僕は 昨日の世界と「さよなら」して 新しい世界の物語の最期を記すのだろう 色褪せるしかない思い出は 夢の中にしか居場所がなくて 輪廻の流れの中で 転生を繰り返す世界 鳥籠の中から見上げる月は 世界の顛末を見届けるべく 常に宇宙(ソラ)に在る 輪廻の流れの中で 転生を繰り返す旅人 鳥籠の中を覗き見る月は 旅人の物語を記すべく 常に宇宙(ソラ)に在る いつか また巡り会えるとしても 君は僕に「誰?」と首を傾げるだろう そして全ては 輪廻の導きで「始まり」に戻り また「終わり」に向かってゆくのだろう もし昨日の君ために 泣くことができるのが僕だけなら もし昨日の世界を 想うことができるのが僕だけなら もし唯一 それが僕にしかできないのなら もし唯一 それが僕に許されたことなら 僕は 夢の中で想うよ 夢の中で抱きしめるよ 忘却の夢幻な世界を――  
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