通い婚

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佐さまの凄いところは、ちゃんと政子ネェとも夜をともにして、めでたく女児をもうけたって事。 大姫 と名付け、たいそうな可愛がりようで、ホント、これならどっから見ても、佐さまが北条館に通う目的は、政子ネェや大姫に逢うためだって、言いはる事ができるに決まってる。 そのうえ……。 これはもう、演技とか抜きで、政子ネェのヤキモチ焼きはもの凄くって、 大姫を身篭ったときなんかも、佐さまがチョットほかの女のところに通いはじめたと聞いたら、 北条家の家人を使って、女の住む家をメチャメチャに破壊してしまったんだから……。 そんなこんなで、 その話は本当に誰だって知ってる話になっちゃったもんだから、 佐さまが北条館に通うのは、誰が考えても、政子ネェに逢うために違いないって事になったんだよね。 げに、おそろしきは、喪女のヤキモチかな。 ま、そんなわけで、佐さまは北条家の婿どの、っていうのが、世間一般に広まったわけ。
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