通い婚

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まぁ……。 四郎はすべての出来事のなかに居たのに、 全部が全部。その時にわかったわけじゃない。 だいぶあとになってから、佐さまから、 「あのときは、こう……」 って、教わって、それでいろいろな事を理解できるようになったわけ。 だから、佐さまの蛭ヶ小島の家に、 新宮十郎行家 って人が訪ねて来たときなんかも、 だれ? って感じで……。 あとから、佐さまの叔父さんだって聞いて、ビックリしたくらい、何も知らなかった……。 この十郎行家ってオジサンが、 『もちひと王のりょうじ』 を届けにやって来たらしいんだけど……。 (もちひと王?) (りょうじ) 訳わからん!! というのが、正直な感想。 だいたい、山木兼隆の報告書の話で、父上の北条時政は、都にけびいしに出かけてる和田義盛に早馬を立てて使者の始末をたのんだり、忙しいさなか。 そんなところに、「もちひと王のりょうじ」なんて、訳わからんモノが届けられたって、 どーするよ。
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