通い婚

7/7
前へ
/39ページ
次へ
ま、四郎には理解できない話でも、佐さまには、はっきり理解できてたみたい……。 わざわざ、正装の水干に着替えて、男山八幡宮を遥拝したあとに、謹んで「りょうじ」 を拝読した。 なんだかなぁ~。 そんなに大変なモノなんかなぁ~。 なんでも、「もちひと王」って人は、都の上皇の皇子らしくって、平家から嫌われて親王になれず、かなりアタマにきてたみたい。 それなもんだから、摂津源氏の源三位頼政って人と一緒になって、平家打倒のために、 「令旨(りょうじ)」 をしたためて、全国の源氏にひそかにばらまいたんだとさ。 そのひとつが、佐さまのところに届けられ、佐さまがあらたまって拝読したと……こうなる。 でも、佐さまは、すぐには返事をしなかったんだ。 ガッカリした十郎行家さんは、信濃に向かうと言い残して、去って行った。 まあ、あとから聞いた話では、「もちひと王」も源三位頼政も、挙兵わずかで討伐されてしまったみたいで……。 でも令旨はあちこちに届けられ……。 これが諸国の源氏を奮い立たせるキッカケになったんだ。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加