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ま、四郎には理解できない話でも、佐さまには、はっきり理解できてたみたい……。
わざわざ、正装の水干に着替えて、男山八幡宮を遥拝したあとに、謹んで「りょうじ」
を拝読した。
なんだかなぁ~。
そんなに大変なモノなんかなぁ~。
なんでも、「もちひと王」って人は、都の上皇の皇子らしくって、平家から嫌われて親王になれず、かなりアタマにきてたみたい。
それなもんだから、摂津源氏の源三位頼政って人と一緒になって、平家打倒のために、
「令旨(りょうじ)」
をしたためて、全国の源氏にひそかにばらまいたんだとさ。
そのひとつが、佐さまのところに届けられ、佐さまがあらたまって拝読したと……こうなる。
でも、佐さまは、すぐには返事をしなかったんだ。
ガッカリした十郎行家さんは、信濃に向かうと言い残して、去って行った。
まあ、あとから聞いた話では、「もちひと王」も源三位頼政も、挙兵わずかで討伐されてしまったみたいで……。
でも令旨はあちこちに届けられ……。
これが諸国の源氏を奮い立たせるキッカケになったんだ。
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