伊豆の流人

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はいっ、蛭ヶ小島に到着。 と言っても、 もう夕方。 佐さま、いるかな? 四郎は、馬を降りると、 「たのも~」 と、案内を呼んだ。 「だぁれ~?」 家人の安達くんがあらわれた。 「やあ✋」 四郎が軽く挨拶。 「アララ……。また、お手紙の配達ですか」 安達くんも、萎えた表情。 「四郎どのも大変ですなぁ」 「まぁね!……それより、佐さま、居る?」 「おられますとも!」 安達くんは大きな声で答えた。 佐さま……。 というのは、武家の頭領、源氏の長者、源左衛門佐頼朝さまのこと。 さきの平治の乱で、平清盛に敗れ、ここ、伊豆に流罪になった、都そだちの貴公子だ。 その佐さまに、せっせとラブレターを書いてる政子ネェは、鎌倉の豪族、北条時政の長女。 四郎義時はその弟で、時政の四男だけど、長男と次男は亡くなってて、三男三郎宗時が、兄貴にいる。弟五郎はまだ元服まえだから名乗りはないけど、一番、気が合う相手だ。 ちなみに、政子ネェと四郎のあいだに、泰子ネェがいて、こっちは、かなりモテ女なんだけど……。 政子ネェが結婚してないもんだから、 泰子ネェも遠慮して独身のまんまでいたりする。
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