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このまんまじゃ、
北条、三浦、和田…といった、関東の豪族たちは、ジリ貧だ。
そこで、かれらが目をつけたのが、
源頼朝
だ。
佐さまは、そんな自分の立場をはっきりと自覚して、
かれらの誘いに乗った。
おもてむき、それは、政子からの手紙という隠れみのを使い、
計画は進められて行った。
「四郎」
佐さまは、書きあげた手紙を手にすると、
「これを……」
政子に?
それとも、北条時政に?
「そなたに、読んで欲しい」
四郎、ガク然。
「わたしは、……」
言葉が、続かない。
佐さまは、そんな四郎の腕をとると、
「挙兵した時には、そなただけを、頼みにしたい……」
優しい笑顔を向けて、
ス……
と、軽く腕を引き寄せた。
(あ……?)
四郎は……
佐さまの細い指先が、
袴の結び目を解いていくのを
震えながら
みつめていた。
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