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佐さまが、蛭ヶ小島からはるばる北条館まで通うようになると、
世間は、
「あやしい」
と、思いはじめた。
まあ、北条時政(父上なんだけどね)は、
「佐どの(大人たちはそう呼んでる)は、うちの政子をたいそうお気に入りのご様子でな」
とか言って、ごまかしてるけどね。
なんとなく、不穏な空気がただよい出してる感じなんだ。
四郎義時にしても、
(参ったなぁ~)
っていうか、佐さまから愛されてからと言うもの、しばらくは、昼間、佐さまの顔をまともに見れない……そんな感じがずっと続いてた。
まあ、武家たるもの、いくさに出たら、ふつうに女人禁制。
たぎる血を鎮めるためには、家の子郎党の中から、愛すべき男を選ぶのが、昔ながらの習慣なんだけど……。
さすがに、佐さまみたいな貴公子から誘いをかけられたら、ドギマギするって!!
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