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鉄塔からある程度離れた所で私は止まった。
心臓がバクバク鳴っている。私は大きく息を吸い込んだ。
そして綱海のことを思い出す。
綱海を思うと、とても胸が苦しくなる。
なんだろう、この気持ち……
その時リカが言っていた言葉を思い出した。
「相手のことを思って胸が苦しくなるのなら、それは"恋"や!!」
ふっと心のモヤモヤが消えた。
そっか、これは"恋"なんだ……
急に別れるのが辛くなった。
綱海と一緒にいて当たり前になっていた笑顔。
それがもう見れなくなる。
「離れたくないっ……」
私はそう呟いたが、そんなこと無理だと分かっていた。
沖縄には家族がいる。大海原中のみんながいる。
そして綱海が愛する"海"も……
私は頬に流れていた涙を拭き取り、家へ走って帰った。
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