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そこにいたのは、あの女生徒だった。
「お前は、あの殺人鬼!」
「誰が殺人鬼よ!あれは正当な理由があるの!第一、私の名前は湍水美樹(はやみみき)って言う、とても良い名前があるんだから」
そう美樹と名乗った彼女は良いの部分に力を込めて言った。
「ちょっと待って。あなた、1つ前の記憶があるの?」
1つ前の記憶とは昨日の事を覚えているのか、と言う意味なんだろうか?
遠回しな言い方が気になったが、その解釈であっていると自分に言い聞かせて俺は答える。
「あ、ああ…」
それを聞いた美樹は何故か悲しそうな物でも見るような眼で俺を見て続けて話した。
「そ、そう…。そう、なの…」
とても歯切れが悪い。
どうしたのだろうか?
美樹はしばらくためた後、俺に言った。
「あなた…じゃ、悪いわね。あなた、名前は?」
「影山清時」
「清時君ね。あなた、ちょっと来て」
名前聞いておいても呼び方変わらないんだな。
俺は美樹に手をひかれた。
「何処に行くんだよ」
「2年B組の教室よ」
「俺は2年D組なんだが…」
「そんな事はどうでもいいわよ」
「ひでぇ!人のクラスを否定するなよ!」
そんな事を話していると2年B組の扉の前についた。
「あれを見てみなさい」
「ん?」
2年B組の教室の中を覗いてみて、俺は言葉を失った。
何故なら、そこにいたのはいてはいけない人物だったからだ。
「あそこにいる彼が私達のターゲット、峰岸琉太(みねぎしりゅうた)よ」
そこにいたのは昨日死んだはずの存在で、俺の隣で一緒に教室を覗いている美樹が殺したはずの存在であったあの人物だった。
「どうなっている!?あいつは昨日死んだはずじゃ」
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