0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
従者フユベルトは、窓辺にて目を細めた。
銀色の毛髪を日差しに輝かせながら、彼はため息をついた。
魔界に住む魔人は、誰一人晴天を喜びはしない。
彼もそうだ。
毒々しい紫が空を覆う曇天が常であり、晴天は、ある出来事の予兆でしかない。
魔界でもっとも望まれ無い事の一つが、天界からの襲撃だ。
神はこの世界の存在そのものが、許せないらしく、度々使いを放っては、魔界を荒らす。
晴天はその予兆である場合が大半だ。
魔界の空を突き破り、天使達は死を振りまきにやってくる。
光は天使の通り道として使われ、天界から放たれている。
「魔王様に報告しなくては……」
フユベルトは自室を後に、魔王の元へ向かう。
足取りは重たい。
最初のコメントを投稿しよう!