産まれたときからの病。

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産まれたときからの病。

この日本にありふれた社会と名付けられた腫瘍に侵された人間達。 実に人間らしくない、人間らしい感情を失ってしまっている。 生きていく限り吐き出せない毒に色はない。 誰も腫瘍に侵されていることに気付かない、気付けない。 どうして人間同士が争う競争社会を生み出し、失敗した人間達が堕ちてゆかなければならない。 協力し合って安定させろなんて綺麗事は言えないが、仕事を手放せずに今を捨て、生活のためにどんどん独りに近付いてゆく。 数と名前だけの友人に、優越感と間違えられた現実逃避をする。 そして若者には教養がないと、教養のない大人達が喚く。 誰が決めつけたのか教養を常識にして学校では腫瘍を育てる。 腐っているわけではない。 ただ、この偏った世界に成功はない。 治す術のない腫瘍に保証された人生なんて、俺は嫌だ。
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