流れ流れた先に私が行き着いたのは

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私…六仙道 叶は、物心つく前から人がどういった者なのかを理解していた。 相手の心が流れ込む様に聴こえるこの力は、それだけ私を縛りつけたのだ。 それを知った両親は、今までが嘘だったみたいに腫れ物に触る様に私を扱う。 それまで食べていた母親の料理はとても美味く、私のお気に入りだったのだが…それからは、味は同じなのに味気無く感じてきた。 愛情というものが解らなくなり、人の温もりが解らなくなり、気付けば私の顔は氷像みたく凍りついていた。 それでも私に、戸惑いならがらも気遣い声をかけてくれる両親に疎ましく思えて、ついには我慢が出来ずにバッグを手に家を出てしまった。 私には心を閉ざしかける前に、もう1つ不思議な力を有していた。 この子だけは私を裏切らない…見た目は仔犬だけど、私と話せる。 この子がいるなら、誰もいなくても何とかなる。そう思えていた。 私は独りなんだ、誰かなんて必要ない。 なのに心の奥底には虚しさが気付かぬ内に染み込んでいた。
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