赤い記憶と銀の出会い

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「ルーヴェ様ぁ…?」 ルチルは屋敷の庭に咲き誇る薔薇の花苑でルーヴェを探していた。 「ルーヴェ様、っ!」 ルチルは薔薇に引っ掛かってしまった服を離そうとして刺で指を傷付けてしまった。 「痛…ルーヴェ様ぁ…」 ルチルが指を押えて辺りを見回すと、薔薇にそっと手を掛けプチッと花を一つ手に取るルーヴェがいた。 「!ルーヴェ様………!」 声をかけようとしたルチルはルーヴェが薔薇を口元に運ぶのを見て立ち止まった。 「ぁ…!」 ルーヴェが薔薇に口付けた途端、薔薇がみるみる枯れルーヴェの手からはらりと落ちた。 「ふわぁ…」 「!ルチル!?」 思わず声をあげてしまったルチルに気が付いたルーヴェの顔は真っ青だった。 「すごいですね!ルーヴェ様は手品もできるのですか!?」 「は…!?」 「あれ?違うのですか?」 「あ、あぁいや、そうだ手品だ」 「すごいですね~」 嬉しそうに微笑むルチルにルーヴェの中でまたも葛藤が始まる。 「ルーヴェ様?」 「え?あ、あぁ…どうした?」 「顔色がよろしくありませんよ?そろそろお屋敷に戻りましょう?」 「そうだな……ルチル」 「はい?」 「我は…我はお前が我が屋敷に来た時まずは互いを知ることから始めようと言ったな…?」 「?はい。ルーヴェ様は確かにそう仰いました」 「だからまずは…」 ルーヴェはルチルに手を差し出した。 「手を繋ぐことから始めてみようか?」 にっと笑いルチルを見やると、ルチルは顔を真っ赤に染めて差し出されたルーヴェの手をそっと握った。 「ルーヴェ様、手がおっきいですね…私の手がすっぽり入ります」 嬉しそうにはにかむルチルにこれ以上ないくらい優しげな笑みを向けルーヴェはルチルの歩幅にあわせながら屋敷へと戻って行った。
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