赤い記憶と銀の出会い

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「ルチル~?もう時間じゃない?」 「はい!今いきます!」 ルチルと呼ばれた少女は輝く長い金の癖っ毛を揺らし駆けてゆく。 「お待たせしてすみませんでした伯母様!」 「やぁねぇ!さして待ってないわよ!大丈夫!」 優しい目をした女性はルチルの頭を撫でるとトランクを渡した。 「お誕生日おめでとうルチル。貴女が幸せになることを何より願っているわ」 「ありがとう伯母様…本当に長い間、お世話になりました…」 瞳を潤ませ頭を下げるルチルに女性は微笑むとルチルの目尻から涙を拭った。 「貴女は素敵な旦那様のところにいくのよ?そんな顔をしてはいけないわ。せっかく綺麗な顔をしているんだから、笑顔を忘れちゃダメ、ね?」 ルチルは女性の言葉に小さく頷きにっこりと笑った。 そして女性に抱きつくと最後の挨拶をした。 今日は彼女の16歳の誕生日。 彼女が5歳の時からの許婚の元へ嫁ぎにゆく日なのだった… 「ここからは随分と遠いけれど、いつか機会があったらいつでもいらっしゃいな。旦那様も一緒に是非」 「はい!本当に、ありがとうございます!」 「元気でね…」 「…っ、はい!」 こうしてルチルは伯母の家を後にし、許婚・ルヴェンナの元へと向かったのだった。
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