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「はい。無事DOLL回収終了しました」
イールは笑顔で携帯電話を使い本部へと連絡していた。
しかし、イールの笑顔に怒りマークが浮かんできた。
「そ・れ・よ・り!総隊長ぉ!なぁんであんなになるまでほったらかしといたんです!!?…は?、えぇ!?それ、本当ですか?…えぇ…わかりました。それも俺達が調べて行きます。…でも!やっぱりあんなになるまでほったらかしなのは金輪際やめてくださいよ!?ってあぁぁあああ!!!切ったぁぁあああ!!」
「兄さん、お風呂お先に。次どう―――」
「総隊長のアホんだらぁぁあああ!!!」
濡れた髪をタオルで拭きながらソファーに腰掛けようとしたザイルの身に、思わぬ悲劇が降り掛かる。
イールが総隊長に怒りソファーに向かって思い切りぶん投げた携帯がなんとザイルの額に直撃してしまったのだった。
「いっ…!!ぅ…!!」
「へ?あ!ザ、ザイル!!!?」
イールが真っ青になって駆け寄る。
額を押えたまま蹲っているザイルの肩に手を置き顔を覗き込むと、ザイルの目から涙が溢れ額が赤く腫れていた。
「ごめん!本当にごめん!!すぐ冷やそう!?な?座って待ってて!!」
イールが慌てて備え付けの冷蔵庫から氷をビニール袋に入れ、それをタオルでくるんだものをザイルの額にあてがった。
「兄さん酷…っ、いったいんだから…!馬鹿!物にあたるなって、言ってるじゃないか…!」
「うん、うん!今日痛感した…!ごめん!ごめんねぇぇ…!」
痛みの反動で溢れた涙は止まったが、ザイルの額の腫れは中々ひかなかった。
「あぁ~ごめんよ…!腫れちゃってる…!とりあえず俺が風呂入ってる間ずっと冷やしといて!急いで入ってくるから!」
「うん…」
イールはザイルをソファーに横たえ、携帯をテーブルに置くと風呂場へと向かって行った。
それを見届けザイルはため息をつく。
「はぁ…全く…兄さんの馬鹿…」
まだ生乾きの髪の下にタオルを敷きなおし、再びザイルは額を冷やすことに集中した。
翌日腫れた額を隠すため真っ昼間からフードを被って歩くなんてまっぴらごめんだと思いながら…
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