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その後なんとか人混みから逃れることに成功した四人はジョンとマルクの言うお店に向かっていた。
「大変だな、二人共…」
「美人ですからね~お二人共」
「いや…やっぱラフな格好で来たのが間違いだったかな…」
「そうかもしれないね…」
「はは……あ、着きました!ここです!」
ジョンの指差す扉は決して新しい風ではないが落ち着きのある淡い黄緑色に金の把手のついたもので、建物も古風だがやはりそこにはどこか懐かしさを感じさせるものがあった。
扉を開くとカランッとベルが音をたて、カウンターから少年とおぼしき声がした。
「いらっしゃいませ~」
ジョンとマルクはその少年を見るなりパッと笑顔になった。
「おーミシェル!お前ホント働き者だな!」
少年もジョン達を見ると花が咲いたような笑顔を顔に広げカウンター越しに手を振った。
「あ!ジョン!それにマルクも!いらっしゃい!」
それからミシェルと呼ばれた少年はイール達を見て首を傾げた。
「あ、お二人様お席はいかがいたしますか?」
「や、この人達は俺等の連れだよ!命の恩人なんだ」
「えぇ!?」
驚く少年にイールはにっこり笑いかけると手を差し出した。
「初めまして。イールフォークリフト・グロリアです!こっちは弟のザイルアステルロ・グロリアだよ!」
イールの後ろでザイルが小さくお辞儀をした。
「ザイルアステルロ・グロリアです。よろしく」
「あ、はい!こちらこそ!僕はミシェル・ラヴィーンです!」
ミシェルはイールの手を取ってにっこり笑った。癖のある明るい金の髪を後ろで束ねあどけなく笑う姿はジョンやマルクと変わらぬただの少年なのにしっかりした態度でどこか紳士な雰囲気を持った少年だなとイールは思った。
「ミシェル君だね!よろしく!」
そして、イールもまた笑顔でミシェルの手を握り返すのだった。
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