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「なぁ!行ってみようって!」
「やっぱりやめようよ…!」
「ここまで来たのに何を今更言ってんだよ!」
深夜0時。
噂の廃工場の入り口で二人の少年が言い争っていた。
「だ、だってさ…ここに入った人はみんな帰ってこないか…」
少年が途中で口籠もった時、続きを言おうとした少年ともう一人の少年の間にすっと頭が入ってきて続きの言葉を紡いだ。
「トチ狂って死んだって?」
少年二人はピシッと硬直し、恐る恐る声のした所へ視線を移した。すると、声を発したであろうその頭はニコッと笑ってこう言った。
「ども!こんばんは」
間を空けて悲鳴が轟いたのは言うまでもない。
「あっはははは!!そーんなに驚くことないんじゃないか?あははは!!」
少年達の目に映ったのは暗闇の中に輝く長い金の髪だった。
長身にローブを纏ったその人物は少年の腕を掴むと立ち上がらせた。
「ごめんごめん。でも、俺の言ったことは間違ってなかっただろ?」
「え、あ、はい…」
「やっぱりな」
腰よりも下に届く程の長い金髪に紫水晶の様な瞳をした美しい顔立ちの青年は少年の答えに真剣な表情で後ろを振り返った。
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