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「カズ君?」
俺をそう呼ぶのはこの世にたった一人しかいない。昔と変わらない声。それは俺がただ一人「お姉ちゃん」と呼ぶ、鳥居 真希のものだった。
まだ思考が利かないらしい。気がついたときに映っていたのは赤い手袋をつけた彼女の小さい手。それは昔から変わっていない。懐かしさを覚える。
いつの間にか知り合って、いつの間にか「お姉ちゃん」と呼ぶようになり、いつの間にか彼女の後を追っていた。
ただそれだけ。
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