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翌日、大学の食堂。
「でもまぁチーボーにとって初カレじゃない?」
サラダを食べながらクニが言う。
「はあぁ、もっとロマンチックなのが良かった~」チーボーはうどんをすする。
二人は昨日の出来事について話している。
「居酒屋だもんねぇ。…ま、うどんすすりながらロマンチックも何もないけどね」
うっ、…確かに。チーボーの箸が一瞬止まる。
「ねぇチーボー、ムックさんはなんであんなことしたのかしらね。」
「…分からんけど、実はすごい酔ってはったよな」
「そうねぇ。それで?チーボーはムックさんのことどうなの?」
チーボーはさっと赤くなる。少しだけ惚れてしまったことが何となく言い出せない。
「ん~…わかんない。無口だけどまぁ、かかカッコいいし…」
無論もろバレである。
「あら、まんざらでもなさそうねぇ。赤いわよ、顔。
一つだけ言っとくけど、三浦さんも本気よ、あんたのこと」
「…ムックが嫌んなったらいつでも俺のとこ来いって」
「それだけじゃないわよ、あの後本気で落ち込んでたわ」
「そうなんっ?!」
「そ。まぁ、二人をくっつけるのも楽しそうにやってたけどね。
もしデートがダメだったらズルズル引きずらないで三浦さんのとこ早くいっちゃいなよね。」クス、とクニは髪を揺らした。
そもそもクニより私を選ぶ、その意味がわかんない。
チーボーは赤いままうどんの汁まできれいに飲み干した。
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