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大学の帰り、チーボーはムックとのデートの待ち合わせ場所にいた。
あんな無愛想でどんなデートになるんやろ。
そもそも昨日のこと覚えてるやろか。
…覚えてても、言うつもりなかったとか言って断られるかも?
不安は尽きないし、自分の気持ちすらふわふわ宙に舞う。
…そのわりに服は一晩悩みまくった。
「つまり実はかなり楽しみなのね」
フフと笑ってクニに突っ込まれた。
待ち合わせは大学の正門。
時々友達が通ってバイバイと手を振ってくれる。
…だんだん恥ずかしくなってきた…帰ろうかな。
その時だ。
「…お待たせさん」
ムックが来た。
「あっ、はい!」
思わず飛び上がる。
「…面白」
夕焼けの下のムックは、心なしかこないだよりオシャレな気がする。
またチーボーは赤くなった。
「行こう」
素早く手を掴まれ(繋ぐというよりは本当に掴まれた)、授業終わりでごった返す大学前の道を、二人はゆっくり歩いた。
チーボーはまだ混乱している。
「…えと、あの…ムックさん」
「ムックでいいよ」
…ムックでいいのか。
「何?」
「…どこ、行くんでしょうか」
「適当」
…適当か。
脳内ツッコミを繰り広げながらも、とりあえず黙ってついていく。
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