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無言のままさんざん歩いて、結局二人は駅前の小ぢんまりしたカフェに入った。前から気になってたオシャレなお店で、ムックが選ぶには少し意外だった。
「…何する?」
席に案内された後、メニューを見ながらムックが聞いた。
どれも可愛くて美味しそうだ。優柔不断な私には決められそうもない。
「じゃあ木苺のケーキ」
ムックが指差す。
「美味しそう…じゃ、それにします」
せっかく選んでくれたのもあったけど、何だかそれが急に一番美味しそうに見えた。不思議。ついでに木苺の紅茶も頼む。
ムックは…ブラックのコーヒーとビターチョコとブルーベリーのタルトか。
ケーキが運ばれてくるまで、チーボーは外をぼうっと見ていた。
「…チーボー」
「はいっ?!」
びっくりした、いきなり呼ぶんやもん…。
「…って呼んだら良いの?」
…心臓に悪い。…ムック、私見て笑ってるし…
「千春でも…いいですよ。呼びにくかったら」
「…千春、ちはるか」
何だかムック、少し嬉しそう。
その時
「あと4日だ」
ムックが小さな声で呟いた。
「4日ですか?何かあるんですか?」
聞いてみる。
しかしムックは
「…秘密」
にっこりと微笑んだ。
…時々すごい良い笑顔する。
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