初カレ

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紅茶とケーキが運ばれてきて、あたりに甘酸っぱい匂いが広がった。良い匂い。 すぐにムックのタルトとコーヒーも運ばれてきた。 「いただきます」 チーボーが手を合わせると、ムックも小さく手を合わせた。 チーボーはなんだかそれが嬉しかった。 「わ、美味しい!…美味しい!すごい!」 あんまり美味しくて二回も言ってしまった。 「くぅ~紅茶も甘酸っぱくて美味しい~!!」 ムックはそれを見て嬉しそうだ(口の端が3ミリほどあがっているからそう判断しただけだが)。 黙ってブルーベリーを口に放り込んだ。 「あの…」 チーボーは恐る恐るムックに聞いた。 「何?」 「そのタルト、少し貰ってもいいですか?」 「ふっ、もちろん」 小さく吹き出して、ムックは皿をチーボーの方に近づけてくれた。
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