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「で、どうだったのよ、デート」
授業が早く終わったので、チーボーのバイトまでの間、チーボーとクニはまた二人で食堂にいた。二人ともアイスを食べている。
ついこの間まで肌寒かったのに、もうじりじりと太陽が照りつけている。
桜はもう綺麗な若葉をつけていた。
「なんか、まったりのんびりしてたなぁ」
チーボーは幸せそうにバニラのアイスをすくった。すでに半分くらい無くなっている。
「緊張しなかったってこと?よかったじゃない。どこ行ったの?」
クニはキャラメル味のアイスだ。
「駅前のカフェやの」
「わ、素敵!そこってすごくオシャレなとこよね!いいなぁ、高そうだから行ったことない。おごってくれたの?」
「へへ、おごってもらっちゃった!めっちゃ良かったよ、ケーキも美味しかったし!」
「年上の彼って感じ!いいなぁ、私も年上の人と付き合ってみたいな」
「ええやん、優しい彼氏おるねんから。ラブラブなんやろ?
あっヤバ話しすぎた!バイト行かな!」
「時々頼りないけどね。
…バイトこないだ決まったって言ってたの、今日からなのね。私もサークル始まっちゃうし、行こっか」
二人は慌ててアイスを食べ終え、食堂を出た。そして別れてそれぞれの目的地に向かった。
その時ちょうど、食堂の近くの芝生の傍にムックがいた。彼はのんびり本を読んでいたが、二人を見つけてそっと微笑んだ。
まるでいとおしむように。
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