カウントダウン

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チーボーは目を覚ました。 昨日の居酒屋のバイトは新歓コンパをする団体の接客に追われてかなり忙かった。 チーボーは帰ってすぐに寝てしまい、夢も見ないほど熟睡した。 見ると、空はすでに明るく、外では鳥がやかましく鳴いている。時々坂を駆け降りるヒールの音が聞こえる。 時刻は7時30分。 一限が無いので今日はもう少しゆっくりできる。 「ん…もうちょい…」 チーボーは迷うことなくふとんに潜った。 が、すぐに跳ね起きた。 「やばっ今日3限中国語あるやん…」 予習してない。 このままやと先生のお説教を10分以上も聞く羽目になりかねない。 仕方なくのそのそとふとんから出て、机に向かった。教科書を開いた。ぼやっとした頭を無理やり叩き起こす。 「イー…アル…サン…」 …数字ですら、まるで呪文だ。眠くなる呪文。 「スー…ウー?」 あかーん、クニに教えて貰お。 速攻であきらめて、チーボーは再びベッドに入った。 ところが。 ぶぶぶ… 今度は携帯が鳴った。 「誰や…朝の貴重な時間を邪魔すんのは…。 …あれムック…?えーっと…わ、明後日の土曜日、ドライブいこう!?スッゴい!」 チーボーはベッドの上で跳ねた。あっという間に目が覚めた。 嬉しくてすぐに返信した。 『もちろん行きます!楽しみ!今からワクワクします!』 ムックはチーボーからの返信を見ると、携帯をそっと閉じた。 「…あと、2日」 その表情はまるで祈るようなものだった。
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