カウントダウン

3/3
前へ
/155ページ
次へ
「お早うクニ!聞いて!ムックにドライブに誘われたの!」 朝9時30分、会うなりチーボーは幸せ全開でクニに報告する。 「よかったわねぇ、だけど、それだけのために私呼び出されたの?」 クニがちょっと呆れて言う。 「あっ、違うよ、今日の中国語予習一緒にやってもらえへんかなぁって…」 恐る恐るチーボーが聞いた。 クニはにっこりと微笑んだ。しかしその裏にはなにがあるやらわからない。 「そうなの。いいわよ。 よし、じゃあやろう。…しっかり教えるからね。」 クニは凄く頭がいい。 …ただし、教えるときは教育ママ顔負けのスパルタ。 チーボーはやんわり後悔したが、何とか付いていった。 「だから、違うでしょう。そこはこう発音するのよ。…聞いてる?」 しかしだんだんチーボーはムックのことを考えずにはいられなかくなった。 「何でムックは私なんやろ…」 チーボーがぼうっと呟いた。 「ちょっとチーボー!?…もー。 …いい?チーボーには良いところいっぱいあるのよ?元気で明るくてちょっと天然だけど頑張りやさんで。ムックさんもそういうことが好きなのよ。」 クニは一旦話を切ると、穏やかな笑顔になった。 「…ドライブいくんだって?勉強は後回しでいいわ。話聞くわよ。」 「えっほんまに!?わーもうクニ大好き!!」 その後チーボーはクニに、助手席でどうしよう、とか、事故にあったらどうしよう、とか、でもムックさんは絶対運転上手いから大丈夫、とか、言うことを嬉しそうに話しまくった。 いろんな話をクニはにこやかにじっと聞いてくれていた。チーボーはクニにとって、妹みたいな存在だった。 チーボー、うまくいくといいな。 …これは余談だが、そのあとチーボーは中国語の授業で先生にかなり褒められて、みんなの前で1ページ読むはめになったのだった。 「あと4日」 チーボーはその言葉をすっかり忘れていた。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加