失踪

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髪をとかして時計を見る。 まだ出かけるには早い。 でも、家で待つのもつまらないから、とりあえず出ることにした。 待ち合わせは学校、正門前。ゆっくりのんびり空でも見ながら歩こう。 ぽかぽかあったかくて風もそよ風、道端にはタンポポ。 絶好のドライブ日和だ。 心なしか歩調も軽く、ワクワクが押さえられなかった。 どんな日になるんやろ。 電車に乗って40分。また少し歩いてチーボーは大学へと向かった。 大学前に着くと、ムックはすでにいた。優しい笑顔で遠くを見ていた。それを見てチーボーはドキドキする。チーボーが近づくと、ムックは目を細めた。 「ちはる」 チーボーはムックの元へと駆けていく。 きっと私は、この時ムックを大好きになっていた。 …でもその時、ミットンさんの忠告なんかすっかり忘れていたのだ。
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