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クニが家に帰ると、クニの母が台所から飛び出してきた。
「邦子!…千春ちゃんどうしたの!?一体何があったの…」
そこまで言って、母親はクニの異常な様子に気づいたようだ。
黙って肩を抱き締めた後、台所につれていき、椅子に座らせた。
「母さん」
クニが呟くように言った。
「チーが消えちゃった」
そういうと、クニは声も出さずに泣き出した。
母は黙って温かいココアを作ってくれた。
チーボーの家から電話があったこと、警察からまた来てくださいと言われたことなど、今日はまだ邦子が知る必要はない。
母はクニが泣きやむまで黙ってそばにいてくれた。
クニは街が静まる頃まで、ずっと泣き続けた。
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