失踪

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あっという間に3日がたち、一週間がたち、1ヶ月たっても、いなくなった2人の消息は、全く掴めなかった。 クニやミットンは何度も警察に呼び出され、同じ話を繰り返した。また警察からもたらされる情報も、ほとんど変わらないままただ日が過ぎていった。 警察は未だにブレーキとアクセルを調べている。捜査自体もすでに縮小されていた。 最初のうちは大学でも時々事故のことは話題になった。そのようなとき、必ずクニは一度話を振られ、話を振られる度にクニは意識を失って倒れるようになった。 だらだらと時間だけが流れる。毎日が地獄のようだった。 やがて世間からこの話題が忘れられても、クニたちの気持ちは一つも変わらなかった。むしろ悪くなっていた。 いつしかミットンはいつもクニの隣にいるようになり、それはクニの彼よりも長くなっていった。ゴウや、他のサークルのメンバーも、少しでも気持ちをやわらげようと努力してくれた。ゴウなどは、自分なりに事故についての資料を集め、警察とは違う答えを証明しようと動いていた。 時々タイムトラベルについての話も持ち出されたが、なにしろ証明が出来ない非現実的なものだったため、たいていはすぐに他の仮定に話題がうつされた。 しかしクニはそんなみんなの努力も虚しく日に日に弱っていき、事故の3週間後、とうとう何もしゃべらなくなってしまった。 それどころか食事もきちんと食べることができなくなり、細かった体が更に細くなっていた。 ………………… そんなある日の午後、クニは倒れて運ばれた、大学の診療室にいた。 いつものように、ミットンが付き添っている。
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