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いつもと同じように、ミットンに見守られながら眠りにつく。
いつもと同じように、チーボーの夢を見る。
笑ってるチーボー。だけど、チーボーはだんだん離れていき、そこで潰れた白い車が目の前に現れる。
ドアを開けると、ドアに支えられていたチーボーの手がだらりと力なく落ちてくる。
現実とは違っても、クニにとってはどちらも変わらない。
いつもの通り。苦しい。逃げ出したくなる。でも、夢はさめてくれない。
でも今回、ドアを開けると、そこにチーボーはいなかった。
ドアの向こうには、黄色い花畑。
クニは迷いなく、花畑に入っていった。
『チー?』
クニは呼びかける。
返事はない。
だけど、何か、近くにいるような懐かしい感覚。
『隠れてないで出てきてよ、チー』
クニは花畑を進んでいく。
たくさんの菜の花。チーボーの大好きな花。前の方に何かを見つける。
『…っ』
何かを言おうとしたクニの喉から、声は出てこない。
そこにはチーボーが笑って立っていた。ムックに寄り添うように。
クニは思わず走り出した。目には涙が、次々と溢れ出す。
『チー』
『チーボー』
何度も呼んだ。
チーボーは相変わらず笑っている。
これは、夢?それとも、天国かしら
クニは、そう思いながらも、走り続けた。
後少し、今行くわ、待ってて…――――――
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