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「あぁ、特別企画に出る」
女装なんてまっぴら御免だっつの。
「わかりました。では女装して走る方は村上君になりそうですね」
村上君? 村上……。
俺の中に眠る沢山の記憶の中から、ひとつの名前が浮かび上がる。
そう、村上君とは、文化祭の立て看板にピカソ顔負けの絵を描いた人物。
「えぇ、良くわかりましたね」
読心術云々に関しては突っ込まないからな。
「でも何で村上君が?」
確か村上君って運動音痴だった気がするが……。
すると紗綾は、遠くにいる村上君を見ながら口を開く。
「文化祭の時の絵が大きな要因です」
村上君……ドンマイ……。
「まぁそう言う訳で巳月君は特別企画ですね」
「あぁ」
俺が頷くと、紗綾は踵を返し、自分の席へ戻っていった……のだが、急に立ち止まってこちらを振り向く。
振り向いた時の彼女は、凄く楽しそうな顔をしていて……。
「校内鬼ごっこ、頼みましたよ?」
えっ……?
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