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「あった!あたしは1年1組っ!桜乃は何組?」
自分の名前を見つけた朋香が、1年1組のクラス表を指差してそう言う。
「えーと、私は…あった。私も1年1組だよ!やったぁ、朋ちゃんと私同じクラスだねっ!」
桜乃も自分の名前を見つて朋香の問いに答え、嬉しそうな笑顔を朋香に向けながらそう言う。
「本当!?やった~!桜乃と同じクラスですっごく嬉しいっ!」
「私も!朋ちゃんと同じクラスですっごく嬉しいよ~!」
桜乃と朋香の二人は手を取り合って嬉しそうにはしゃいだ。
二人は少しの間はしゃいだ後、朋香が時計を見ると予鈴が鳴りそうな時間だと気がつき、二人は教室に向かう事にした。
桜乃はふとクラス表に目をやると、最近知った少年の名を見つけた。そして心の中でそう呟いた。
「あ、越前リョーマ君の名前だ…。そっか、リョーマ君もここに入学するんだ…。2組って事は隣のクラスかぁ。ちょっと残念…」
越前リョーマとは、春休みの時に桜乃が電車の中で、見知らぬ男子高校生が振り回していたラケットが顔にあてられそうになったところを、助けられた少年の事である。だが、本人は助けたつもりはないと言っていた。
そして、リョーマは道を聞かれたのに間違った道を教えてしまったり、お詫びとしてジュースを奢ろうとしたが財布を忘れて逆にジュースを奢らせてしまったり等、桜乃が色々借りを作ってしまった少年である。
桜乃は心の中で呟いた最後の残念という言葉に自分自身でも驚いてしまい、思わず「えっ!?」と声に出してしまった。
その声に朋香が驚き、桜乃に不思議そうにそう問いかける。
「桜乃?どうしたの?急に変な声出しちゃって…」
桜乃は小さく手を振り、目尻を下げて笑いながらそう答える。
「何でもないよ。びっくりさせちゃってごめんね…」
朋香は桜乃の様子に小さく首を傾げるも、すぐに笑顔になりそう言いながら教室に入っていく
「ふーん?ま、別に気にしてないから、大丈夫よ。とりあえず教室入りましょ!」
「うん。そうだね」
朋香の答えを聞いて安堵した桜乃は、そう言いながら朋香に続いて教室に入り、朋香と桜乃は指定された席に座る。
少しすれば、桜乃と朋香のクラスの担任が来てホームルームを行い、その後に体育館で入学式が行われ、入学式が終わり下校時間となった。
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