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ここまで来たのはいいけれど、緊張のあまり家の前でハアハア息の荒いあたしはかなり怪しい
意を決して、チャイムを鳴らそうと上げた手はコントかって言いたいぐらいに震える
『あ゙』
それでも面白いぐらいに震える手は、またコントのように曲げた方の親指の先がチャイムを押した
中でどんな音がしたのかは知らないけど、たぶん変な押し方だったのに“ハーイ”と明るい声と共にドアが開いた
スーッと開いたドアにより緊張し過ぎて血の気が引いていたあたしを出迎えたのは少しだけ予想していた人物で、だけど一番気まずい相手だった
『里緒先輩…』
『あら、颯の後輩ちゃん?』
胸元の開いた真っ白いセーターに、ミニスカートを履いた里緒先輩は颯…もとい、一条颯先輩の彼女
バッチリとメイクまでした里緒先輩は、これからお出かけなのか、それとも帰ってきた後なのか、玄関先にあったと思われる健康サンダルを履いてあたしを出迎えたのだった
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