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そんな小さな気遣いや、優しさに触れると、弘輝にのめり込みそうで、少し恐い。
現に、今、胸がキュッと締め付けられている。
家庭での扱いが、女として扱ってもらえてないだけに、辛いだけに、縋ってしまいたくなる。
「もう少ししたら、隣り歩こうな」
少し甘い響きに、弘輝の言う“大人の関係”が、ただの身体を重ねる関係じゃないんじゃないかと、疑問に思いつつ、あえて聞かない。
それは、私のずる賢さで、答えを聞くのが恐いからで、自分自身も曖昧な関係にしておくことで、逃げ道を残して――…。
いけないことをしようとしているくせに、傷つくことを拒んでいる小心者だったりする。
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