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みんな俺の事を様付けでよぶ。理由は俺が国王の孫だから、それだけ。
学力は普通、運動神経は…ちょっといいくらいか、身長は高くないし、体重も平均的。そんな俺が何故特別扱いされる?俺より優れた人なんて同い年に何人もいる。そんな人も含めてみんな「シィラ様、シィラ様」だ。俺は辛かった。名前を呼ばれて振り向けば「や、やっぱり何でもない…」と言い去って行く。様付けで呼ばれた時の俺の顔は自分でもわかる。凄く感じが悪い、歪んでいる。
どうしたら普通に過ごせるんだ、友達が何人も出来るんだ、みんなと遊べるんだ。そんな事を思ってももう手遅れだった。俺の周りに人は集まらない、成す術が無い…
しかし、類は友を呼んだ。4年生に進級した時に1の少女が現れた。彼女は『ホーリエ王国』の第2王女、サリア・ホーリエと名乗った。
「アルヴァエラ王国とホーリエ王国の友好を深めるためにやって参りました。ご迷惑をおかけすると思いますがよろしくお願いします。仲良くしてくださいね、シィラ様」
「あ、はい…」その時、俺の表情は歪まなかった。
クラスでの自己紹介でも彼女はあかるかった。俺はそんな彼女と自分を比較した。すぐに情けなくなった。あんな風に。振る舞えたらきっと友達もできるだろうな…俺には無理だ。俺はやっぱり独りだ…
しかし、彼女の周りに人は集まらなかった。
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