第三章 過去

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翔兄ちゃんがまだ帰ってきていない……。 いつもなら、7時までには帰ってくるはずなんだけど……。 「……翔、遅いわね……」 俺はリビングで母さんとテレビを見ていた。 しかし、俺も母さん同じ事を考えテレビの内容なんて、頭に入ってこなかった。 俺と母さんが沈黙していると、玄関から声が響いた。 「ただいま~!」 体が動く前に声で分かった。 翔兄ちゃんじゃない、父さんだ……。 俺は翔兄ちゃんじゃなかったことに、焦りを感じた。 「おい、桜! 翔の靴がないが、どこかに行ったのか?」 父さんがリビングに入ってきて、母さんに話しかけた。 因みに、桜(さくら)ってのは母さんの名前で、父さんの名前は翔侍(しょうじ)って言う。
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