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翔兄ちゃんがまだ帰ってきていない……。
いつもなら、7時までには帰ってくるはずなんだけど……。
「……翔、遅いわね……」
俺はリビングで母さんとテレビを見ていた。
しかし、俺も母さん同じ事を考えテレビの内容なんて、頭に入ってこなかった。
俺と母さんが沈黙していると、玄関から声が響いた。
「ただいま~!」
体が動く前に声で分かった。
翔兄ちゃんじゃない、父さんだ……。
俺は翔兄ちゃんじゃなかったことに、焦りを感じた。
「おい、桜! 翔の靴がないが、どこかに行ったのか?」
父さんがリビングに入ってきて、母さんに話しかけた。
因みに、桜(さくら)ってのは母さんの名前で、父さんの名前は翔侍(しょうじ)って言う。
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