第三章 過去

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「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」 俺の精神は崩壊した。 「父さんッ!! 父さんッ!!」 俺は父さんに近寄りベットを揺らした。 「こんなッ! 父さんッ!! 嘘でしょ……!」 父さんの体は明らかに壊れていた。 左肩から指先までが見当たらず、右膝から足の先も見当たらなかった。 そこには白い包帯が巻かれていて、時間と共に赤く染まっていった。 「……グスッ……父さん……」 俺は父さんの顔に被せられていた白い布を取り、頬に手をかけた。 「……なんだ。暖かいじゃん……」 俺は理解していた。 父さんはもう死んだって事を。 ただ認めたくなかっただけだ。 その為、あんな強がったセリフを言ってみせた。 「……まだっ! ……グスッ…………暖かいッ、じゃん……!」 そういう俺の瞳からは涙が溢れた。
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