第三章 過去

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頭に昇っていた血が収まり、ひーちゃんも羽交い締めを解き、俺はその声に吸い寄せられるかのように近づいた。 「母さんッ!? 大丈夫っ!?」 母さんは弱々しく腕を上げ頭を撫でてくれた。 「……そんなに、あばれっ……たらッ…………ダメ、でしょ……?」 俺は自分の頭を撫でている母さんの手を握って自分の胸の前に持ってきた。 「母さん! 大丈夫……? ……治るよね?」 俺は弱々しく母さん聞いた。 「……母さん、もうッ…………ダメみたい……」 母さんの答えは俺の期待を裏切り、そう言いながら涙を流した。 「母さんの泣いてる所……、初めて見たかも……」 俺は無理に笑顔を作り、母さんの涙を拭いてあげた。
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