1、失った左目

3/13
前へ
/71ページ
次へ
「……っは、また、あの時の夢…」 私はそう呟いてベッドからおりた。それから私は、いつものように服を着替え、左目に眼帯をし、朝ご飯を食べ、家を出た。 私の両親は海外で仕事をしていて、私は1人暮らしをしている。生活費は毎月十分すぎるほど送ってくれるので困っていない。 (でも、こんなに送ってくれるってことは、やっぱり…) そう、いくらお金が送られてきても、手紙が送られてくることはない…電話がかかってくることはない… それはきっと、この左目が原因だろう… 私の左目は私が6歳の時に奪われた。私はその時の状況を両親に話したが、信じてもらえるどころか逆に恐がられてしまい、両親は私と距離をおいている。 そして私は、左目を奪われたその日から、その時の夢を見るようになったのだ。 「私…右目も奪われちゃうのかな…?」 そう、今日は私の16歳の誕生日…そして、私の左目を奪った男は私が16歳になったら右目を奪いに来ると言った。 「この右目は守らないと」 私はそう決心して、高校への通学路を進んだ。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加